2019年12月のホノルルマラソン以来2回目のフルマラソン。去年のウィメンズもエントリーしていたけれどコロナで中止になり、やっと参加することができた。私はマラソンに全く興味のなかった数年前まで名古屋ウィメンズマラソンのことを、あちこちが通行止めになって迷惑ぐらいにしか思っていなかったが、実際参加してみると想像以上に充実感が得られる楽しいイベントだった。事前にコース図を見ながら、生活圏内の見慣れた道を走るだけなのだなあと思ったけれども、普段車がビュンビュン走っている広い車道を車を気にせず走ることができるのはとても気持ちが良いものだった。途中、自転車に小さい子を乗せた女の人がコースを横断しようとして警備員さんに止められて困惑していた。目的地に行くまでに大分迂回しなければいけないのだろう。申し訳ないなと思いながら、交通量の多い広い道路を通行止めにして行う大規模なこの大会は、相当多くの人の協力があって実現するものなのだと感じた。
いつもは約二万人が参加するそうだが感染対策のため今回の参加者は6000人程。6000人でもかなり大規模である。会場に着いて最初の受付から走り終わるまで感染対策が徹底されていて、潔癖症の気がある私にはとてもありがたかった。いったいこのイベントのために何百本の消毒液とウェットシートが用意されたのだろう。スタッフの方々の労力も計り知れない。
本番までしばらくカフェイン断ちをしておくと、当日カフェインを摂った時の効き目が上がると聞いたので1週間カフェインを摂らないようにコーヒーや緑茶を飲まないようにしていた。このお陰で、自分の寝つきが悪いのは日頃のカフェインの摂り過ぎであることがわかった。当日の朝は4時起きなので早寝早起きを心がけていたのだが、カフェインを摂らないでいると夜すぐに寝ることができ、従って早起きもあまり苦にならなかった。今まで朝起きられないのは精神力のなさだと思っていたけれど、そんな根性論の問題ではなかったようである。当日35kmを越えたあたりでラストスパートをかけるためにカフェイン入りのゼリーを持って走っていたのだが、その前にレッドブルを貰ってそれで覚醒してしまい、そのゼリーの効果はよくわからなかった。
会場の巨大なモニターに、はっきりとなんて書いてあったか忘れたが「諦めずに走り切れば自信になる」といったような文章が出てくるのを見ながら、別に趣味で走っているだけで物凄い記録が出せるわけでもないのに大袈裟なと思っていた。が、それが案外大袈裟ではなかったのである。完走してみると、タイムに関係なく、42km走り切ったというそれだけの事実から充実感と自信が不思議と生まれてくる。物凄い疲労と痛みでしばらく日常生活に支障をきたすだろうけれど、それさえ勲章のような気がして悪くない。基本的になんでも他人と自分を比較して自己否定に陥りがちの私には、他人と比較しても何の意味もないと最初から割り切って楽しめる趣味に出会えたことがとてもありがたい。
尚、趣味というのは何事も、お手本であるその道のプロがいらっしゃる。今回シティマラソンで片手で数えられる順位でゴールされた、ランニングスクールの我らがコーチはめちゃくちゃカッコ良い。ご自身はプロとして常に最前線で戦われつつ、趣味の域を一生越えることのない私達にも懇切丁寧な指導で走る楽しさを教えてくださる熱意には本当に頭が下がる。プロがいるから、趣味が楽しい。
気温の高さや傾斜など、ホノルルより条件が良かったこともあるけれど、お陰様でホノルルマラソンからタイムを1時間弱縮めることができた。これからもぼちぼちタイムを縮めていければと思う。比べるなら、比べる対象は自分だけでいいのである。